東部市場前

過去から来た猿

たまこラブストーリー』観てきました。ちょろっと感想。
(本篇の内容に触れてるし、しかもこれ読んでもどんな話かよくわからんと思います)

  • 前提として、テレビ版『たまこまーけっと』は4話で脱落。
  • つまり、おおよそのキャラは知ってる(チョイちゃんと王子はあんまり知らない)くらいの状態で鑑賞。したけど楽しめました。
  • 尊みとうつくしみが存分に満ち溢れた映画でした。(俺ワード)
  • 道路を挟んで真向かいの2階どうし、幼馴染で夜の糸電話。テレビ版からあったこの要素、考えてみると大変に美味しいんですね。叫べば届こう距離をあえて糸電話という、その子供らしさ、密やかで微笑ましい繋がりが。
  • 夜に、というのが肝要で、何せ夜はふつうカーテンを閉めるものだから、通話の成立には双方の細やかな配慮が必要になる。だから一度すれ違っちゃうと延々すれ違い続けちゃう、という話ではあった気がします。
    • 幼馴染のよさ、尊さというものが長らくとんとわからなかったんですが、ここ何ヶ月かでエミュレーションできてきた感覚はあって、つまり夜空に架かる糸電話の尊みですよ!尊み!(錯乱)
  • ラスト、たまこが京都駅のホームまで持ってきた糸電話を、わざわざもち蔵に手渡してから投げさせていたように記憶していて、ああこれは誠意だなあ、と思ったわけです。あなたのメッセージを取りこぼさず、ちゃんと受け止めますよ、という意思の表明。バトントワリングにも重ねられて。
  • 思い出したようにふつうの感想を書くと、糸電話・バトンなんかをはじめとるするテレビ版からのモチーフがふたりの関係のために適切に再配置されたうえで、幼馴染の初恋話として大変よくまとまっていて、つまりウヒョヒョーとの奇声を禁じえない。男の子女の子の感情をしゃぶしゃぶ(堪能)したい方にオススメです。
    • モチーフといえば、餅であるわけですが(最低の発言)、そうそう、餅って老人が喉に詰まらせやすいんですよねえ。言うことなし。
  • 映画が大変すばらしかったのでテレビ版のDVDを借りてきて5話から最終話まで流して、それで今この文章を書いてるわけですが、主だったネタとしては9話から拾っているのかな、というところで。あんこの友達が転校するのと、豆大の名前が豆大福と混同されるの。
  • twitterの人がテレビ版観てなくても大丈夫、というので観に行って、実際大変宜しかったわけですが、まあやっぱり全部押さえたうえで観た方が大きく楽しめるとは思います。何も知らずに映画のOPを聞いたときはおおう京アニ男性ボーカルでロックとか妙に色気付いたな、などと邪推したわけですが、正体がわかってみればあの映画の中でも随一の赤面要素ではあって。
  • まーけっととラブストーリーで何が違うって、一番違うのはデラがいないことだと思うんですね。あの鳥がいるとそれだけでコメディの側に引き寄せられていくので、ラブコメにはなってもラブストーリーにならない。1時間半以上の尺があるなら尚更。
    • でも全く出さないのでは連続性を否定するようだし、映画の最初に南の島の3人のようすが見られたのは(観た時点ではよく知らなかったけど)よかったなあと。
    • 合わせて、商店街のみなさんは適度に後景に退いて、たまこの心理に必要な示唆を与えるだけの装置と化し、学校の描写が相対的に増えて、ラブストーリーに絞りこまれていくと。ところで学校の話ですがかんなちゃんこんなに可愛いとは思わなかった。テレビ版でも片鱗あるけど、映画ではかなりクローズアップされてませんか。
  • そしてみどりちゃん。当方は鑑賞中ずっと、みどりちゃんはもち蔵のことが好きなんだと思い込んでて、しかし一般的な読みではたまこのことが好きということのようですね。言われてみれば確かにそうで、でないとみどりちゃんがたまことの付き合いの長さ(小学校から)を主張するエピソードが浮いてしまう。
    • 男1女2の三角関係なら女の好意の矢印は当然男に向いているだろう、という当方の無自覚な先入観がまたしても発露され、やっぱり根っこではヘテロ好きなんだなーとつくづく思い知らされる事案です(余談)。
  • ただまあ、別にみどりちゃんがたまこともち蔵、両者に対してそれぞれ何がしかの好意を持っていても構わないわけで(描写を精査してないから厳密に成立可能かは留保するけど)、そうだとしたらもっと面白いなーと思ったわけです。何が面白いって、映画から数年を経て、もち蔵との結婚も視野に入っていたくらいのタイミングでたまこが夭折するとしましょう(母も若くして死んでるから別にありえなくはなかろう)。悲嘆に暮れるもち蔵とみどりちゃん。高校の友達らで集まってしんみりと思い出話から飲み屋をハシゴ、気づけばふたりきり、終電逃して宿代わりにラブホに雪崩れこみ、いつしか互いの傷を舐め合うようにセックス!うっかり寝てしまうわけですね(地元じゃねえのというツッコミは措いときねえ)。さっそく二人の関係に気付いてしまい、まだお姉ちゃんの喪も明けてないのに、と怒りと悲しみがないまぜになった感情に翻弄されてもち蔵を憎悪してしまう女子高生あんこ。彼らを複雑な目で見つめる豆大ら大人世代。というくだりまで書いたところでこれまんま君望や、と気付いてしまったし作品の感想より妄想の方が数段滑らかに筆が進む当方もたいがいどうしようもないと思いました(オチはない)。