東部市場前

過去から来た猿

PUELLA MAGI MADOKA MAGICA THE MOVIE Part III: Rebellion.

  • 再構成系SS、公式による空前絶後に豪華な二次創作、娯楽超大作、メタ映画。
    • セリフと人間関係の再配置によって構築された、閉じた空想の世界(前半)。まさしくアニメは夢、映画は夢なんですね。
  • ビビッドなイメージの奔流(こういうときは気取ってイマージュとか言いたくなる)、回転する重力とめまいの感覚。なんだかわからないけどとにかくスゴい画を次から次へと見せてくれる、という点で個人的にはヱヴァ以来とでもいうべきか、数年に一度の作品なのではないでしょうか。なんだかんだで毎年観てるけど。
    • 前半において担任教師や杏子やほむらのいわゆるシャフ度が、のけぞりすぎて限りなく水平へと近づいているのとか、めまいを催し世界への違和感へと通じていて。
  • 続篇の報を知って危惧していたのは、一度終わった物語を再開するために、ざっくりとした大団円の論理のスキマを抉じ開けて新しいロジックを捩じ込んで世界観を拡張することで無惨な様相を呈するのではないか(たとえば『電波男と青春女』3巻以降とか)、ということだったのだけど、鑑賞後の結論としてはそうヒドいものではない感触。
    • とはいえ、世界観の拡張のために、テレビ版のエセ宇宙物理学的説明の硬度に比べればかなりゆるゆるのリアリティに移行したようにみえる。人間の感情はスゴいんですよー世界も変えちゃいますよーというのは一度きりの大ネタであって、それが常識になってしまった世界観では驚きは少ない。
      • テレビ版最大の瑕疵であった酷薄な設定と展開の至極どうでもよさ、とりわけ奇跡とエントロピーがどうだのループがどうだのと、エロゲーやってた人間としてはうんことしか思えないリアリズムが、事ここに至っては開陳されないので大変精神によい。
    • やっぱり世界観がとっ散らかり気味のきらいはあって、魔女・魔獣・ナイトメア・悪魔と、敵っぽい存在が増えすぎて、リアルタイムのセリフだけでは事実関係を把握するのに少々困難がある。ほむら氏が世界の秘密に気づくくだりとか。
    • 王子様願望の発露に対して、実はお姫様の方が強くてひっくり返される、という一種の定番展開がテレビ版であったのに対して、さらにひっくり返したのが今回の話ではあるので、これどう収拾つけるんだろう、とは思う(当然のように続篇前提で話す)。
    • この規模で二次創作が広まった作品だと、作者といえど完全にそうした視界から逃れて描くのは難しいのかな、とはフィルム中のさや杏推しと、もはや本当にクソレズとしか呼びようのない姿に至ったほむら氏に思いました。
      • とりわけさや杏推しの邪悪さは、それが仁美恭介前提であることを殊更に強調する流れにおいて立ち現れるのもあるし、これは前にも書いたかもしれないけどさやか氏のフォルテシモの髪留めが画面に映るたびに上条氏への献身と挫折を語り続けるメタメッセージ機能を有しているように見えてつらいというのもあるんですね。
        • そういえば今回の上条氏見てると、まあ可愛い子に告られたら付き合うけど基本的には音楽のことしか頭にないっすよーという人なのかな、という感じで、うーむ中学生ですね。
          • 登場人物のあらゆる愚かな行動への違和感が湧いた端から「でもこの子らまだ中学生だし」というエクスキューズに回収されてしまう碌でも無さ!
            • 以前からのことですね。
      • ほむら氏の人格について想定していくと大概碌でも無い話にしかならなくて、たとえば元々は心臓病のために入院生活が長かったためか、いわゆる社会性というものがどうも希薄なようで(中略)まあ、ああいうことするよね。
        • まどか氏の弓矢はすべての魔法少女の運命を撃ち抜くついでに過去ほむら氏の心臓疾患も撃ち抜いておくべきだったのでは。再構成されて小学校くらいからまどか氏と幼馴染のほむら氏なので人格に問題がない。世界は救われた。
        • さやか氏からも独りで抱え込むクセに言及されるほむら氏~~~
      • 落下のモチーフ。すっかり忘れていたけどテレビ版最終話でビルから飛び降りる時点で、ほむら氏の凋落は予告されていたんですね。ただそれが、魔法少女としての生の終わりから円環の理に回収されるという当初の射程をインキュベーターのみなさんの裏ワザとほむら氏の愛(って本人は言ってるけど完全に執念とか妄念の色彩)によって大きく超えてきたなあと。
  • 多分この映画のほとんど唯一にして最大の欠点って、概念まどか氏がまんま人型をとって降りてくるとことで、格落ちにも程があるんだけど、そうしなければほむら氏はまどか氏を捕まえられなかったわけで、ここ一番でどうしようもないボトルネックが露呈したなあ、と。
  • 髪に触るのはセックス。
  • 「僕たちが本当に見たかった『Rewrite』がここにある!」というしょうもないアオリを思いついたが本当にしょうもないです。
  • 他ではどうだか知らないが音響がひどい。高音はとにかく音割れしていたので一晩経っても頭が痛い。