東部市場前

過去から来た猿

故あって SWII #12. まで視聴。テレビ放映から数えて多分4周目、だいたいのことは過去の俺が色々なところに書き散らしているのでまあいいやという感じである。わざわざなぞり返さんでも。
劇場版公開後しばらくは発狂していたのだが(必要に応じてこのブログの過去記事を参照しよう)、落ち着いてからあらためて視聴すると特に気にならない。しかし2期を最後まで観ると劇場版にはやはり納得できないとの想い高まってしまうのであった。
とはいえ、その納得できなさではありながらも、まあ彼女なら仕方ないとも思わされてしまいかねないのがまさに宮藤芳佳の宮藤芳佳たるゆえんではあるのかもしれない。

会話のさなか、ふと昔のSS案を思い出したので並べておく。もう書く気力も無いし、誰かパクってくれれば幸いのこと。

STRIKE WITHCES 195X - Veteran Witches' Affairs -

ネウロイ大戦の終結から数年後。軍務を解かれ故郷に帰還したウィッチたちの存在は、各国で社会問題化しつつあった。
過酷な戦闘の過程で心身に故障を負った者、戦い以外に身の処し方を知らず周囲と諍いを起こす者。せっかくの恩給を酒や薬に溶かしてしまう者。挙句の果てには乞食に落ちぶれる者まで現れた。
無論、軍のみならず社会一般における(元)ウィッチの地位は各国ともに総じて高く、割合的にも代々の名門家系の出身者が大半を占めたため、彼女たちを社会復帰させるための公的・私的なバックアップ・フォローアップは優先的にとり行われた。だがこのことが絶対数として圧倒的に多く、同様の問題に苦しんでいた一般の退役軍人から嫉妬を招いた。逆差別であるとのいわれなき非難を受け――ウィッチ一人で歩兵数百、数千人分の働きをしたというのに――、ウィッチたちは政治上の窮地に立たされる。恩給の削減。種々の特権の剥奪。そしてあろうことか、魔法使用の禁止。
欧州・北アフリカはネウロイから解放されたとはいえ、いまだその傷跡は深い。ネウロイの残した瘴気によって人の足の踏み入れられない土地も残り、復興は遅々として進まず、生産力は回復しない。心身ともに飢えた大衆は、手っ取り早いスケープゴートとして二重の意味で<他者>たる魔法使いの女=ウィッチを求めたのだ。戦争が終わってみれば、得体のしれない不気味な力を操る女なぞ不要。20世紀は科学万能の時代、科学技術が人類の輝かしい未来を切り開いていくのだ。
……あるいは人々は、恐れたのだろう。勇猛果敢なウィッチの働き、文字通り千人力のその力を。怪異に唯一抗しうるその神性こそ、ネウロイ消滅後の世界には不要と考えたのだ。身勝手にも。
かくして戦女神は容易く地に引きずり落とされる。魔女狩り(ウィッチ・パージ)の嵐が世界を覆い始める。
そんな風潮のさなか。戦禍とはほぼ無縁であったために戦後の国際政治の主導権を握ったリベリオンに4年ぶりの冬が訪れようとしていた。大統領選の冬。
この年、初の女性大統領候補として急遽立候補を決めた元ウィッチがいた。前大戦の英雄として、さらには選挙を目前に急死した上院議員の夫に代わって。予備選挙を前に、その知名度のみならず高潔な人格によって党内でも有力候補のひとりとして急速に存在感を増しつつあった彼女を待ち受けていたのは、退役ウィッチによる市街地銃乱射事件だった――

  • 原作の設定をシビアな方向に読み込みつつ、小娘たちの駆け抜けた戦争とかもういいですーおっさんおばさんの政治とか見たいんですーって持ってくとこうなるかな、という例の一。書いといてなんだが個人的にはあんまり趣味ではない。
    • なんとなればストライクウィッチーズ2とは一側面、初代トップのオオタコーチ的な熱血脳筋野郎をトップ2的な異能持ち青少年の「あがり」による自意識の危機の問題に突っ込みつつ家族としての501JFWの枠組みに引っ掛けて変奏する話ではありまして、それを更に捻り直しつつ戦後の退役軍人問題に一般化するとこうなる。
    • しかしパロディの宝庫からさらにパロディすると何がなんだかわからんね。いや初代トップがそもそもそうしたコンセプトを振りかけつつ熱血王道路線で押し切る類の作品なんだから正調の発展、とは言えるのか。
  • そもそも当方にはあいにくと国際政治史の知識とか無い。調べれば書けるだろうけど、調べてる内に早晩飽きるであろうことは容易に想像がつく。あといざ執筆の段までこぎつけたところで、多分そんなに面白い話にならないという。
  • しかしまあ、某氏にも言われた気がするのだが、襤褸に身を包んで乞食をするウィッチ、というビジュアルイメージは圧倒的に強い。勿論手足の一本も無くしておかねばならぬ。部分的に取り出して漫画化すると面白いのではないでしょうか(絵という絵が一切描けない人間の放言)。

「警視庁抜刀隊」

――扶桑皇国の航空ウィッチに二軍あり。陸軍航空隊。海軍航空隊。
――否、否。第三軍ぞある。
――第三軍、其は何ぞ。
――内務省警視庁麾下、帝都の守りを専らにせん。抜刀隊、警視庁抜刀隊なり――!

なんやかんやの国内事情・国際事情。縄張り争いと政治の果てに、外征に繰り出す羽目になった警視庁抜刀隊。
命知らずの武士(もののふ)ども、腰に佩いた軍刀抜いて、並み居るネウロイばったばったと薙ぎ倒す。それ見た異国のウィッチども、驚き呆れ叫ぶことには「扶桑のウィッチは化け物か!」
まことあっぱれ、扶桑の誉れ、警視庁抜刀隊。

  • いやまあ、もっさんがダース単位で徒党を組んでポン刀振りかざして向かってきたらネウロイもすっごいイヤだよなーというただの思いつきではあるのですが。より直接的には『朝霧の巫女』のせい。
  • あと外人に「扶桑のウィッチは化け物か!」言わせたいだけ。外部からの視線によって再帰的に定義される変態の国・日本という自己像によるオナニーですね。
    • これも資料調べるのがめんどいので以下略。といっても上の「退役ウィッチ問題」よりかは創作で押し切れる余地が多そうだけど。あとまあ、時代設定をどこに置くかも難しい。
    • 西南戦争に起源を置くのは難しい。というのは公式設定上*1、信長が海外進出俺TUEEEEした世界なので実際の近世・近代日本史の知識が役立つとは思えない。一応、1867年の議会制移行に伴う揺り戻しとして地方反乱が起きていたと想定する余地はあるが、そこで抜刀隊が結成されるには「賊軍の刀持った超強い士族」VS「刀に馴れない官軍の平民」という構図が成立せねばならないっぽい。しかしこの時点での身分制度がどうなっていたかわからないし、仮に議会制移行したんだから身分も解放されているだろうと無難に読んだとしてもそもそも近世以降も海外でガンガン戦争してる扶桑において日本刀がこの世界のような近接戦闘武器としてあの形状・ポジションにあったかどうかは以下略
  • つまり、無限にどうとでも言えてしまうようなので、まあ好みでテキトーに俺設定すればいいと思います。そもそもがパッチワークの世界設定なので。個人的にもっさんを直接絡めるのはあんまり好きくないけど。
  • なおシールドは張りません。なぜならそのほうがかっこいいから よりキチガってるから 烈風丸のように刀それ自体がシールドとして機能します。
    • 別にあがりが差し迫っているわけでもないのに魔剣に魔力を吸い取られて次々と弱っていく抜刀隊のウィッチたち……
  • 薩摩出身者が大半を占めていたりすると何かすごくイヤな感じでいいと思います。うら若き乙女たちがネウロイの肝に我先にとかぶりつく。いや肝とかねーよ。まあ『ドリフターズ』的な。


まあ何と言いますか、もっさんこそが世界の穴なんだなーという感。宮藤の主人公性とはまた別の点で。

*1:ストライクウィッチーズ オフィシャルファンブック コンプリートファイル』2009年、角川書店刊、34~35ページ。