東部市場前

過去から来た猿

ヱヴァQ感想。初日初回。備忘。同行者との会話からの成果も込みで。ネタバレしか無い。

  • アスカ様!その揺るがなさと未練たらしさが堪らない!
    • アニメ版・漫画版のなかでは一番魅力的ですね(数あるゲーム版やパチンコ版は一切知らないので除く)。お仕えしたい。
    • 仮に破のアスカとQのアスカが同一人物だとして(まああの惣流然とした佇まいこそ演出上のブラフなんだろうけど一応)、14年の間にパートナー作らなかったのかな、とも思うが、エヴァの呪縛のせいで歳がとれないのもあって同じ身の上であろうシンジに固執しているのかも。アスカ視点では3号機の起動実験開始→(封印される)→気づけば数ヶ月~数年後、世界は荒廃しその主犯はシンジと聞かされる→ヴィレに参加して戦う→現在に至る、という流れなので、ニア・サードインパクトの現場に立ち会ったミサトさんなどとはまた違った想いがあるのでしょう。
  • 3DCGで敵モンスターを描くとRezもどきになってしまう問題再び。あるいはアウロラ
  • ヴンダーがヤマトでアークエンジェルで飛空艇。あとちゃんと触れてないけどN-ノーチラス号らしいですね。ミサトさんはP4に見えるし。
    • 重力制御って実はエヴァ世界では初出のテクノロジーなのでは。S2機関を別にすれば基本的には近未来的な、90年代から見て2015年には実現していないこともなさそうなテクノロジーの集合体だったエヴァにあって地味にエポックメイキングであるようにも思う。
    • マヤさんお強くなられた、あるいは男嫌いをこじらせてしまわれた……。
    • 髪を切ったリツコさんと老いた冬月はいよいよ顔面骨格がコーカソイドにしか見えぬ。
    • 今作における「俺はこれがやりたいんだ!」ボンクラ妄想の発露、に見えるもの、といえばこれ。浮遊する軍艦の群れ。思わず満面の笑み。
    • 飛空艇、というのは作劇上重要な存在で、これは適当にFFとか引き合いに出せばいいんだけど、移動の自由がぐっと増して世界中どこでも行けるようになる=ヴィレがいつでもどこでも状況に首を突っ込めるようになる、という。
  • 目覚めたら状況は激変し置き去りにされている、という状態にあって右も左も分からないわれわれはシンジ君の視点に寄り添って鑑賞せざるをえず、「ミサトさんたちがネルフを裏切って内戦を続ける並行世界に来てしまったのだろうか?」とか「アスカが惣流っぽい恰好してるし別のループなんだろうか?」といった興味の引力に引き寄せられてのめり込めるわけですが、破から14年後と判明しシンジ君がネルフ本部に到着してからはいかんせん弛緩する。
    • とはいえ、やはり破の圧縮具合が異常だったのであって、劇場版のアニメだったらこれくらいの速度だよなあ、とは。
  • ヒロインを助けるか、世界を救うか、というどうしようもない類の二項対立の問題系があるわけですが、ヒロイン助けたら世界滅亡してました、いやいやそんなこと言われましても聞いてないがな、という展開は面白い。さらにカヲル君も代わりに責任とって爆死してしまい、シンジ君の罪の意識は増す一方。これは自閉してもしゃあないと思うんですよね。
  • 13号機という存在の据わりの悪さとか、東京が喪われてしまったのでただのモンスターエンカウントにしかならないパターン青!使徒です!とか。
    • 脱臼しかかったナンバリング。数を重ねているけれど見た目のモチーフを踏襲しているので落ち着かない。
  • シンジ君の拙速さ・迂闊さ・愚かさを叩く人が多いようだけど、彼はほぼ一貫して陰謀の犠牲者なのでなんだかなあ、といった感じ。14歳の根性曲がった少年の手に余るような特権的な力を、本人の与り知らぬところで保持している、にもかかわらず、その立場について適切な情報や教育を十分に与えられていない状態で、自らを取り巻く状況においてやれるだけのことをやった結果、陰謀家たちによって彼らの目的を成就するよう誘導されたという経緯にあって、しかも周囲の人々はおのおのの葛藤や都合で事情を明かさずに要求だけを突き付け、挙句の果てに自分の行為がもたらした破滅と罪を知らされたら、まず否認や責任転嫁などの防衛機制にに走って自分を守ろうとするのは人間の通常の心のはたらきであるし、そんな中で目の前に都合よく下りてきた蜘蛛の糸にしがみ付くでしょう。蜘蛛の糸の存在を教えてくれた人に止められても。そしてそれもやっぱり陰謀の続きであったことを依然として知らないまま、無力感だけ押し付けられたら引きこもりますよ。救われないなあ。
    • おまえら子供を騙して連れてきて何期待してるんだよという怒りは中学生の時に貞本エヴァを初めて読んだときから思っていましたね。それが世の中だ、とか訳知り顔で言う輩は(以下略)
    • 一言で言うと、「彼は利用されていることすらわかっていない、立場を自覚すらしていないのにどうして責められようか」。
  • ここまで訳知り顔でコメントしてきたカヲル君ですら騙されていたことが明らかになり、そのまま劇中から排除されたので今後の展開を保証してくれる存在はいよいよ誰もいなくなった感がありワクワクする。
  • 2号機は旧版でもさんざ凌辱の文脈が積み上げられているので傷めつけやすいのかな、と。パイロットの性格的な問題もあってか、突撃(&バラバラ)の改2号機と直掩の8号機、という分担が上手く回っているように見える。
    • マリは実に自然に世界に馴染んでいる。「ヱヴァの呪縛」と本人の言い回しを検討するに、実は結構なお歳なのかな、と。冬月がシンジ君に見せたユイの写真に似た人が写っていたような気がする。
  • 14年経過させて何がやりたかったのかな、と言うと色々想像できると思うんだけど、ひとつにはキャラの加齢を口実にデザインの更新を断行したのかったかな、とか。パンフレットのミサトさんなんか眼や輪郭がもろに「おおかみこども」の貞本デザインですよ(本篇観てないけど)。結果、序もさることながら破に至るまでつきまとわれた「なんかスゴイ豪華な画面なんだけどどことなく古さの残ったものを見せられている」感は大きく払拭された。でもネルフ本部に戻るとやっぱり多少あるんだけど。廃墟の鮮烈なイメージは今でもまだまだ十分行けるんだけど、でもやっぱり「まだまだ行ける」なんですよね。
  • エンディングクレジット、動画担当のスタジオの数に思わずほっこりする。力業やわあ。
  • 予告のエヴァ8+2号機の殺陣が今回一番の笑いどころではなかろうか。いかにもやっつけでCGで動かしてますよーって感じであるにもかかわらず溢れ出すボンクラ臭が堪らない。これはこれで観てみたい。
  • 結局3人に戻っていく終わりが心あたたまる。

また何か思いついたら追記。