東部市場前

過去から来た猿

SWTM. 公開初日に観覧。

よかった点。カメラの対象が海上の戦いから森林のそれにシフトしたことによって従来小説版「スオムスいらん子中隊」「乙女の巻」や漫画版「アフリカの魔女」などの他メディアでは再三その存在が言及されつつもテレビアニメ版ではとうとう出現しなかった地上型ネウロイが堂々登場したこと(というところまで書いてから2期6話のアバンはエイラが糸杉の森で葉っぱ拾ってんじゃんあのネウロイは地上型と言えなくも無いじゃん微妙に浮遊してるっぽいしむしろ航宙型って感じだけどと気がついたがまあ厳密な話として)、静夏の初戦闘シーンで同様に小型の飛行機型ネウロイ(ラロス?)が登場したこと、「あがり」を迎えた宮藤芳佳が地を往くヒトの一個体として見上げる地上型ネウロイのスケール感・恐怖感が描き出されたこと(ちなみに陸戦におけるこうしたスケール感の存在に気づかされたのは同人誌『Unknown Witches Secret File』収録の飯沼俊規「ワールドウィッチーズ 東南戦線」中のイラストがきっかけである)、さらにこれによって村を破壊され住む家を追われる民衆とそれを守るべく奮闘するウィッチたちの姿が同様にアニメの絵面としてははじめて描写されたことで芳佳の「守りたい」という想いにこれまでにも増して説得力が与えられたこと(勿論今までは説得力が無かったというわけではない。テレビアニメ版の画面だけから判断するとその対象は海軍の兵士とせいぜいが仲間のウィッチたちといった軍籍者のみ、ということになりかねないがそもそも宮藤の赤心はそのように差別的なものではなくただ幼少期に亡父から呪いめいてすら与えられ内心で純化されるとともに1期1話・2話で戦うこととも接続・再解釈された「守りたい」というただ一点に結晶しているからこそ尊いものである)、それからカプ厨に寄り添った(言い換えれば一次創作としてのバランス感覚をやや失いぎみの)エーゲル・ゲル芳・エイラーニャ描写、ワールドウィッチーズファンへのやや過剰とすら思えるサービス、各地でぽつぽつと報告される「異変」がやがて全体状況に収斂していくという怪獣映画らしい脚本構成、地図にちゃんとルクセンブルクの名前が載ってたこと、エーリカが手からビームが出る系女子になってたこと(烈風斬に続く可能性?)、等々。

わるかった点。宮藤芳佳主人公の新作である。

(つづく)