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東部市場前

過去から来た猿

SW #04.
おねえちゃんについてはある種のSSの方が本篇よりも余程精度が高い、というのもおねえちゃんのあれはつまるところ気性と前提条件の問題なんですね。
察するにこの人、究極的には、何者にも代えがたい大切な妹、クリスを守りたいという想いから出発し帰納的に「みんな」を守ろうとしている。であるからして、当のクリスを守れなかったという悔悟が内心持ち上がるたびに誰も守ることなどできやしないという絶望に駆られてしまう。ただでさえロジックに冗長性が足らないうえに、本人の精神も結構ピーキー(これは生来のものなんでしょう)。なので、この前提条件が変わらない以上、彼女はつねにがけっぷちに立っていて、誰かがそっと背中を押してあげるだけで気鬱の谷にまっさかさまというわけです。
だから宮藤の出現もただきっかけに過ぎない。クリスに似た新人がひたむきさのあまりしょっちゅう理想論を口にする、ために刺戟されて悪夢に引きずり込まれ、視野狭窄に陥ったところをやはり新人の献身で我に返る。ゼロ→マイナス→ゼロの上下移動が4話だったのであって、それはきっとこれまでも幾度と無く訪れてきた事態であったろうし、この後だって条件に変化無いかぎりはいつでも何度でも起こりうる(ミーナさんが私たちはチームだから、家族なんだからと説諭したところでこの人の気鬱に因る自暴自棄を永続的に押しとどめること叶おうとはとても思えない、というのもそもそもそうした配慮を心がけることあたわぬ心境をして視野狭窄と呼ばしむるのだから)。
(実際、この後のおねえちゃんはボトルネックであるところのクリスを〈妹〉概念へと一般化し、501JFWの隊員をつぎつぎと〈妹〉認定することで一種のリスクヘッジを試みるわけですが、実際これはクリスの存在をこそ前提したメソッドである以上、どこまで行ってもその場しのぎにしかならないわけです。)
話を戻すと、問題の(構造の)抜本的解消は、すくなくともこの時点での手持ちのカードではほとんど不可能であって、1エピソード25分間でカタを付けるなら、今後のクリス復活を恃みにああした「ひとまず丸くおさまったことにしておく」処理をとるしかなかったのでしょう。
――そして、そうした間隙から二次創作にあってはトゥルーデの陥穽を再演する余地が生じていて、結論としてはそこにエイラーニャぶっこんだ『クロウカシスの虜』マジですげえのでみなさん読みましょうというハナシ。